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春の探偵日誌 総集編

探偵の仕事は依頼人の人生を左右する情報を扱うものだ。

今回の案件も例外ではなかった。


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対象者は「浮気妻」


クライアントは夫であり、彼は妻から突然の離婚の申し出を受けたという。

「急に離婚したいなんて、おかしいじゃないですか」クライアントはそう語る。


さらに話を聞くと、クライアントは以前から妻の行動に疑問を抱いていた。


ある日、会社からの帰り道に待ち伏せし、バス停で妻が見知らぬ男と親しげに話している場面を目撃した。

浮気を確信したクライアントは、感情に任せて妻を問い詰めた。


「お前、誰と話してるんだ?」

「ただの会社の同僚よ。何よ急に!」


妻は浮気を完全に否定した。


しかし、クライアントの疑念は晴れず、その場で彼女のスマートフォンを奪おうとした。


しかし、当然のごとく妻は激怒。以降、妻は警戒心を強め、スマートフォンに指紋認証と顔認証のロックをかけ、ますます行動が慎重になった。


これは探偵にとってかなり厄介な案件である。普通の浮気調査なら、対象者の行動パターンを探りながら証拠を押さえていく。


しかし、今回の対象者は警戒心が非常に高く、尾行や張り込みを察知されるリスクも大きい。慎重に調査を進める必要があった。


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クライアントからの情報をもとに、探偵はまず対象者の生活パターンを把握することにした。


  1. 勤務先の確認妻の勤務先は工業地帯にある工場の事務職。何千人もの従業員が出入りしている。

  2. 交通手段妻はバスと電車を利用して通勤している。会社を出るとまずバスに乗車する。

  3. 帰宅時間のズレ最近になって帰宅時間が不規則になった。以前は19時頃に帰宅していたが、最近は22時を過ぎることも多い。

  4. スマートフォンのロック強化以前は机の上に無造作に置いていたスマートフォンを、最近は肌身離さず持ち歩き、通知も非表示に設定している。


これらの情報から、探偵は浮気相手と会っている可能性が高い曜日と時間帯を特定し、調査を開始することにした。


調査初日は週末金曜日。夕方、探偵は工業地帯の広大な敷地を望む高台から、勤務先の出入口を目視していた。

日が傾き、空が茜色に染まる中、対象者が会社から姿を現す。制服の上に薄手のカーディガンを羽織り、やや疲れた様子で歩いている。工場の敷地内を抜け、バス停へと向かっていくその背中を、探偵はカメラに収める。


しばらくしてバスに乗車し、最寄りの駅に到着。その後は何事もなく帰宅。初日の調査は、静かに、終わった。


次も同じく週末金曜日に調査を行うかどうか、平日毎日調査を行うかどうか、探偵はクライアントと相談した。


「実は……月曜は早く帰ってくることが多いんです」


クライアントの提案もあり、火曜日から金曜日まで、平日毎日調査を行う方針へと変更することが決まった。


クライアントの切実な願いがそこにあった。「早く、決定的な証拠がほしいんです」


火曜日の調査は空振りに終わった。対象者は会社から出て、バスに乗り、駅を経由してまっすぐ帰宅。


だが、水曜日——探偵の緊張は一気に高まる。


この日、工場の裏手にある海沿いの道路には、春風が吹き抜け、空気が湿気を帯びていた。工場の高いフェンスと、潮の香り。広がるアスファルトの上には、大型トラックや業務車両が不規則に停車している。


夕方18時。対象者が工場から現れる。だが、いつものようにバス停には向かわず、背中を翻し、工場裏手の海沿いへと足を向けた。


「これは、動きがあるな……」


探偵は距離をとって尾行。だが、海沿いに出るとすぐに大型トラックがいくつも並んでおり、視界が遮られる。対象者はその間をすり抜けるように歩き、ついには完全に死角へ。


焦ることなく探偵は立ち位置を変え、慎重に前方へと回り込む。すると、トラックの隙間から見えたのは——黒のワンボックス。


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そのワンボックスの助手席のドアが、静かに、しかし確かに開いた。


「まさか……」


直後、ワンボックスがゆっくりと動き出した。


対象者がいたはずの場所には、もう誰の姿もない。

ナンバープレートをカメラで撮影。車種、色、特徴を記録した。


「あの車が……浮気相手か」


黒のワンボックス。大型トラックに紛れて停車するその車は、計画的に人目を避けるための選択だろう。

今回の行動から、過去にも同様のパターンが繰り返されていた可能性が高い。


探偵はこの日をもって調査を一旦終了。次回の調査では、あらかじめ裏手の道路に車両とバイクを分散配置する戦略をとる。


浮気妻がどの方向に移動しても確実に追跡し、証拠を押さえるための布陣。

春の夕暮れ、海風が吹き抜ける工業地帯。


探偵は、次なる動きに備えた。






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