

敗北感
今回の浮気調査はこれで終了となった。しかし、最後に残ったのは、得られた証拠に対する満足感ではなく、 後味の悪い敗北感 だった。プロとして、相手の裏をかくことができなかった。いや、相手の方が一枚上手だった。この一件は、俺たち探偵稼業の難しさ、そして油断の恐ろしさを改めて痛感さ...
6月28日


後の祭り
「もう後の祭りです」 俺は、そう返すしかなかった。もし、クライアントが事前に口を滑らしたことを伝えてくれていれば、我々も警戒を強め、対策のしようはあったはずだ。 幸いなことに、今回の浮気調査は既にラブホテルの出入りを2回押さえており、浮気相手の住所も判明している。裁判資料と...
6月27日


クライアントから謝罪
クライアントは、しきりに謝罪の言葉を口にした。 「……私が、口を滑らせてしまったんです」 彼は、浮気妻に本来知りえないはずの「 車で帰宅している 」という情報を口にしてしまったことを自白した。調査前に、この失言について俺たちに伝えようとしたが、罪悪感から言い出せなかったとい...
6月26日


欺かれた
その言葉に、俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。二重尾行。つまり、浮気相手が、こちらの動向を探るために別の人間を雇って、我々を探偵と見抜き、浮気妻に伝えていたのだ。だから、朝、浮気相手がシルバーのコンパクトカーに乗っていたのか。彼らは我々の目を欺くために、敢えて別の車両を使...
6月25日


二重尾行
クライアントの話によれば、浮気妻は帰宅するなり、彼を問い詰めたという。 調査車両 のこと、俺たちの 風貌 、そして、その後に浮気妻を 撮影しているところ まで、 すべて見られていた と。 さらにクライアントは続けた。 「……実は、浮気相手が、 二重尾行 をしていたそうです」...
6月24日


露見した真実
俺はすぐにこのことを先輩探偵に伝え、車で待機した。その後、浮気妻は特に変わった行動もなく、無事に家に帰宅した。今日の調査は、何一つ決定的な証拠を得られずに終わった。 その日の夜、クライアントから連絡が入った。電話口の声は、明らかに動揺していた。...
6月24日


疑惑
俺は無線で先輩探偵に強く進言した。ようやく、彼は俺の言葉に同意した。先輩探偵が車で追いついたので、俺はバイク班の調査員と交代する。おそらく浮気妻は、駅のホームにいるはずだ。 交代するため、俺が駅構内を戻っていると、 浮気相手らしき人物...
6月23日


尾行の中断
バスを降り、駅へ向かう浮気妻を尾行すると、彼女はさらに 頻繁に後ろを振り返る ようになった。もはや、それは「警戒行動かどうか確信が持てない」レベルではなかった。完全にこちらを意識している。この状況で、これ以上尾行を続行するのは危険だ。...
6月22日


尾行はリスク
俺は先輩探偵に提言した。獲物がここまで警戒心を露わにしている以上、これ以上の尾行はリスクが高すぎる。バレる可能性が高い。しかし、先輩探偵は俺の言葉に耳を貸さなかった。 「とりあえず、バスに乗車してくれ」 彼の指示は絶対だ。俺は渋々、浮気妻が乗り込んだバスに、数メートル離れて...
6月21日


中止の要請
10分ほど経過しても、浮気相手の車は来る気配がない。時間だけが無為に過ぎていく。痺れを切らしたのか、浮気妻は突然、トラックの陰から出てきて、ひとりで歩き出した。向かったのは、駅へ向かうために使うバス停だ。バスに乗車するつもりらしい。...
6月20日