

火種
クライアントが、知らぬ間に“知りえないはずの情報”を口にしてしまった失言だった。 探偵は調査中、クライアントへは「浮気妻が車を利用している」といった詳細な日々の行動まで報告している。浮気妻が車に乗っていたこと、そしてそれがこの日に限ってなかったことを、クライアントが自然と...


クライアント宅にて
週末のある晩。クライアントはいつも通り、リビングでテレビを見ながら妻の帰宅を待っていた。21時を回った頃、玄関の鍵が回り、浮気妻が帰宅する。 「今日は早かったね。車で帰ってこなかったんだね」 クライアントの何気ない一言に、浮気妻の肩がぴくりと反応した。 「……!!!」...


証拠としての重み
この点を踏まえて、我々探偵側からクライアントへ、調査継続の意向を打診した。「念のため、3回目の証拠も押さえておいた方が安全です」 クライアントは即答した。「お願いします。訴訟も視野に入れているので、完璧な証拠をそろえてください」 ...


当時の判例
これでラブホテルの出入りは2回。現在の法解釈では、ラブホテルの出入りが1回であっても不貞の証拠として認められるケースは増えている。だが、当時の判例では慎重な姿勢が求められており、2回では証拠能力に疑念が残る事例も多かった。 ...


ラブホテルへの再訪
今回向かった先は、前回とは異なるラブホテルだった。とはいえ、立地の条件は格段に良く、張り込みにはもってこいの場所だ。ホテルの敷地は見晴らしがよく、死角になる物陰も少ない。しかも、ホテル敷地前には大きめの月極駐車場があり、車内からの撮影が可能だった。 ...


同じ動き
勤務先を出た浮気妻は、先週とまったく同じように裏手の海岸通りへと歩を進める。タイミングを見計らって、バイク班の調査員が無線を飛ばしてきた。「黒のワンボックス、先週と同じ車両、定位置に停車中です」 この報告を受けて間もなく、浮気妻が現れた。彼女は例によって、トラックの死角を...


火曜日
火曜日。結果から言えば、この日は空振りだった。いつも通り、勤務先を出た浮気妻はバス停へ向かい、そのまま自宅へ直帰。特段、変わった動きは見られなかった。念のため自宅周辺も軽く見回ったが、不審な車両や人影も見当たらず。調査報告は至極簡素なものとなった。...


浮気調査の継続
翌週、調査は継続された。前回の張り込みで得られた成果は大きく、浮気の証拠として確実に一歩前進していた。だが、裁判まで見据えた場合には、もう一押しが必要だった。探偵である私も、依頼人であるクライアントも、その点は重々理解していた。 hy東京探偵事務所...


夜の闇の中へ
車に戻り、ドアを閉めたとき、カチリとロックの音が静かに響いた。その音がまるで、「今回の調査は、これで一旦の締めくくりだ」と告げるようだった。 エンジンをかけ、無音のまま住宅街を離脱する。 次なる行動の報告を胸に、探偵は夜の闇の中へと溶けていった。 hy東京探偵事務所...


任務は完了
「これで……ひとまず、今日の任務は完了だな」 浮気相手の素性を明らかにするための手がかりは、すべてここに揃った。 探偵はもう一度、現場を慎重に見渡した。周囲に人影はない。静寂に包まれた住宅街の夜の空気は、緊張の糸を少しだけ緩ませてくれる。 hy東京探偵事務所 町田オフィス...