

中止の要請
10分ほど経過しても、浮気相手の車は来る気配がない。時間だけが無為に過ぎていく。痺れを切らしたのか、浮気妻は突然、トラックの陰から出てきて、ひとりで歩き出した。向かったのは、駅へ向かうために使うバス停だ。バスに乗車するつもりらしい。...
6月20日


黒のワンボックスは無い。
先輩探偵の指示に従い、俺は車を海岸沿いに回した。いつもの待ち合わせ場所、トラックの死角になる場所に、 黒のワンボックスは無い 。浮気妻は、トラックの影に隠れるようにして、こちらからは見えない位置に身を寄せた。今までなら、既に浮気相手が定位置で彼女を待っているか、すぐに現れる...
6月19日


不自然な警戒
しばらくして、浮気妻が会社のビルから出てきた。彼女は、いつものように裏手の海岸通りへと歩を進める。その足取りには、以前のような隠蔽の慣れのようなものはなく、むしろ 頻繁に周囲を警戒するように、何度も後ろを振り返っている のが見て取れた。その仕草は、まさに獲物が猟師の存在に気...
6月18日





















