

ハッとする
浮気妻はハッとした。彼と会う日は、彼が送ってくれる彼の車、つまり 黒のワンボックス に乗って帰宅することがほとんどだ。 だから、自宅までバスで帰るのは、彼と会わない日か、会っても途中で別れて公共交通機関を利用する日だけ。...
6月7日


張り詰める疑念
玄関の鍵を開け、明かりのついていないリビングの奥から、夫の気配を感じた。 「今日は早かったね。車で帰ってこなかったんだね」 夫のその言葉に、浮気妻の心臓が「ドキン」と大きく跳ねた。背中に冷たい汗が伝う。 (なぜ……なぜ、車で帰ってこなかったことを知っているの?)...
6月6日


浮気妻の心情
金曜日の夜、浮気妻は会社を出ると、そのまままっすぐバス停へ向かった。彼と会う予定だったが、急な残業で約束の時間がずれ込み、結局会うのは諦めた。バスに揺られ、自宅最寄りのバス停で降りる。 いつもの日常。だが、彼女の心には漠然とした不安が渦巻いていた。最近、妙に夫の視線を感じる...
6月5日


何もしらずに
「これでラブホテルの出入りは2回。これで裁判に勝てる確率は上がったが、万全を期すなら3回目を押さえるのが理想だ。クライアントも訴訟を視野に入れている以上、手抜かりは許されない」 俺の言葉に、バイク担当の探偵が頷いた。「了解です。次も張り込みの準備は万端にしておきます」...
6月4日


定例会
翌朝、俺たちは定例の報告会を開いていた。前日の張り込みで得られたラブホテルでのツーショット写真は、紛れもない証拠だった。 だが、クライアントが望む「完璧な証拠」には、もう一押しが必要なことは全員が理解している。俺は、高倍率ズームで捉えた鮮明な写真を見つめながら、今後の調査計...
6月3日























