

恋人か
俺は息をのんだ。 彼女は、昨日見た、C氏に非常によく似た女性だった。 今日は黒のワンピースに身を包み、健康的で華やかな笑顔を浮かべている。 そして、彼女は迷うことなくB氏の腕を組み、二人はそのまま仲睦まじく繁華街の方へと歩き出した。その様子は、どう見ても心労で休んでいる人間...
8月10日


夕方
そして、その時は突然訪れた。夕方に差し掛かった頃、エントランスの自動ドアが開いた。そこに現れたのは、昨日と同じ白いTシャツにジーンズ姿のB氏だ。 俺は身構え、カメラを構える。彼の後ろに、影のようにぴたりと寄り添う女性の姿があった。 「……!」 hy東京探偵事務所...
8月9日


次の日
次の調査日。朝から俺はB氏のマンションの前に張り付いていた。今日もまた、真夏の太陽がジリジリとアスファルトを焼き付ける。 時折、集中力が途切れて、意識が遠のきそうになる。探偵稼業は、こんな地味で辛い時間の積み重ねだ。 それでも、俺は決して視線をエントランスから離さなかった。...
8月8日


コンビニ
B氏は、そのまま近所のコンビニへと入っていった。俺は少し離れた場所から、彼の様子を伺う。 店内に入った彼は、真っ先に弁当コーナーへ向かい、手際よく数個の弁当をカゴに入れた。 その後、レジで会計を済ませ、特に寄り道することもなく、そのままマンションへと帰宅した。...
8月7日


本人確認
撮影した写真を、すぐにクライアントの佐藤氏に送る。 『B氏の行動確認を開始しました。添付の写真をご確認ください』 数分後、佐藤氏から返信が来た。 『本人に間違いありません。引き続き、動向を追ってください』 hy東京探偵事務所 町田オフィス ...
8月6日


夕方
午後も終わりに差し掛かり、日差しが少しだけ弱くなった頃、ようやくB氏が姿を現した。 白いTシャツにジーンズという、ごく普通の格好だ。 彼はマンションを出ると、周囲を気にする様子もなく、まっすぐ歩いていく。俺はすぐにカメラを構え、正面から彼の顔を撮影した。...
8月5日


似ていたな
一瞬、追跡すべきか迷った。だが、今回の依頼はB氏とC氏、二人の「心労」を暴くこと。 今日はB氏の行動確認を優先する日だと決めていた。 見間違いかもしれない。女性は初見だとわかりずらいこともある だが似ていたな。 もし彼女が本当にC氏なら、また別の機会に動きがあるはずだ。俺は...
8月4日


似ている
昼を過ぎた頃、マンションのエントランスから、見覚えのある女性の姿が現れた。 「ん……?」 思わず、小型カメラのファインダーを覗き込む。 長い髪を揺らしながら歩くその女性は、依頼資料に添付されていたC氏の写真に非常によく似ていた。...
8月3日


調査初日
最初の調査日。午前中、B氏のマンションのエントランスには何の動きもなかった。俺は車内で汗を拭きながら、冷たいペットボトルを喉に流し込む。 日差しが強く、ボンネットからは陽炎が立ち上っている。単調な張り込みは、集中力との戦いだ。時折、周囲を行き交う住民の顔をカメラで軽く追うが...
8月2日


調査開始
「よし、開始だ」 無線で バイク担当の調査員 に指示を出す。 B氏の自宅マンションは、比較的新しい建物で、周囲には小さな商店や飲食店が点在している。人通りは時間帯によってまばらになるが、油断はできない。 周囲の目を気にしながら、俺はB氏の自宅の玄関、つまりマンションのエント...
7月23日