食事が終わり、店を出た二人は、そのまま近くのカフェへ。 テラス席でしばらく談笑した後、持ち帰りのドリンクを購入し、再び腕を組んでB氏のマンションへと帰っていった。 俺たちは、二人がマンションに入るまで、その動向を漏れなく記録した。...

グラスを傾け、食事を楽しむ二人の姿は、どこからどう見ても、ただの仲睦まじいカップルのデートだった。 笑い声が聞こえるわけではないが、その表情は明るく、会話が弾んでいるのが見て取れる。 俺はシャッターを切りながら、これが「心労」で休業している人間の姿かと、内心で呟いた。この光...

二人はそこで少し会話を交わすと、そのまま店の中へと入っていった。俺は無線で指示を出し、バイク担当の調査員に店の周辺を巡回するよう伝えた後、 もう一人の調査員とともに、客を装って店内へと入った。奥の席に座った二人の姿を、店内の装飾物や他の客の死角から、慎重にカメラに収める。...

俺とバイク担当の調査員は、慎重に距離を保ちながら二人を尾行した。繁華街の人混みに紛れながら、二人は楽しそうに会話を交わしている。 ふと、二人が歩みを止め、あるお店の前で立ち止まった。小洒落た内装の、イタリアンレストランだ。店の前にはテラス席も設けられており、賑やかな雰囲気が...

俺は息をのんだ。 彼女は、昨日見た、C氏に非常によく似た女性だった。 今日は黒のワンピースに身を包み、健康的で華やかな笑顔を浮かべている。 そして、彼女は迷うことなくB氏の腕を組み、二人はそのまま仲睦まじく繁華街の方へと歩き出した。その様子は、どう見ても心労で休んでいる人間...

そして、その時は突然訪れた。夕方に差し掛かった頃、エントランスの自動ドアが開いた。そこに現れたのは、昨日と同じ白いTシャツにジーンズ姿のB氏だ。 俺は身構え、カメラを構える。彼の後ろに、影のようにぴたりと寄り添う女性の姿があった。 「……！」 ｈｙ東京探偵事務所...

次の調査日。朝から俺はB氏のマンションの前に張り付いていた。今日もまた、真夏の太陽がジリジリとアスファルトを焼き付ける。 時折、集中力が途切れて、意識が遠のきそうになる。探偵稼業は、こんな地味で辛い時間の積み重ねだ。 それでも、俺は決して視線をエントランスから離さなかった。...

B氏は、そのまま近所のコンビニへと入っていった。俺は少し離れた場所から、彼の様子を伺う。 店内に入った彼は、真っ先に弁当コーナーへ向かい、手際よく数個の弁当をカゴに入れた。 その後、レジで会計を済ませ、特に寄り道することもなく、そのままマンションへと帰宅した。...

撮影した写真を、すぐにクライアントの佐藤氏に送る。 『B氏の行動確認を開始しました。添付の写真をご確認ください』 数分後、佐藤氏から返信が来た。 『本人に間違いありません。引き続き、動向を追ってください』 ｈｙ東京探偵事務所 町田オフィス  ...

午後も終わりに差し掛かり、日差しが少しだけ弱くなった頃、ようやくB氏が姿を現した。 白いTシャツにジーンズという、ごく普通の格好だ。 彼はマンションを出ると、周囲を気にする様子もなく、まっすぐ歩いていく。俺はすぐにカメラを構え、正面から彼の顔を撮影した。...