

素行不良社員
「しかし、このグループは、就業時間中にまでその副業、具体的には不動産取引や投資マンションの購入に関する活動を行うようになりました。社内PCで物件情報を閲覧したり、取引先と連絡を取ったりと、目に余る行為が頻発したため、再三にわたり厳重注意を行ってまいりました」...
13 時間前


依頼内容
佐藤氏は、手元のタブレットを操作しながら、淀みなく話し始めた。 「弊社には、以前から社内で副業を行うグループが存在しておりました。就業規則上、明確な副業禁止規定はございませんでしたが、原則として副業は禁止という認識でおり、プライベートの範囲で行う分には黙認しておりました」...
2 日前


面談
約束の日、俺は佐藤氏が指定した丸の内の高層ビルへと向かった。 ガラスと鉄骨でできた巨大な建造物は、まるで現代社会の神経中枢のようだ。エレベーターで最上階まで上がり、案内された会議室は、無機質な白とグレーで統一され、窓の外には東京の街並みがジオラマのように広がっていた。...
3 日前


依頼電話
電話が鳴ったのは、一週間前のことだ。受話器から聞こえてきたのは、いかにも企業人らしい、抑揚のない男の声。 「私、株式会社セントラル・ソリューションズの法務部、佐藤と申します。御社に、いくつかご相談したい案件がございまして」 企業案件。...
4 日前


夏の探偵日誌開幕 企業内部の影 ~疑惑の診断書と二つの顔~
アスファルトの照り返しが、陽炎のように揺らめく真夏の午後。事務所の窓から差し込む西日が、使い古された木製のデスクに、歪んだ光の帯を描いていた。 扇風機が首を振り、埃っぽい空気をかき混ぜる音が、耳障りなほど大きく響く。前回の浮気調査で味わった苦い経験は、まだ心の奥底に澱のよう...
5 日前


春の探偵日誌 総集編 3
翌週、調査は継続された。前回の張り込みで得られた成果は大きく、浮気の証拠として確実に一歩前進していた。だが、裁判まで見据えた場合には、もう一押しが必要だった。 探偵である私も、依頼人であるクライアントも、その点は重々理解していた。...
6 日前


春の探偵日誌 総集編 2
木曜日は静かなまま終わった。対象者は勤務を終え、バスに乗り、まっすぐ帰宅した。 そして迎えた金曜日。 探偵たちは水曜日の動きを再現するため、裏手の沿岸道路に事前に配置を完了していた。 バイク担当の探偵は、浮気妻が勤務先を出る10分前には現場で待機していた。...
7 日前


春の探偵日誌 総集編
探偵の仕事は依頼人の人生を左右する情報を扱うものだ。 今回の案件も例外ではなかった。 対象者は「浮気妻」 クライアントは夫であり、彼は妻から突然の 離婚の申し出 を受けたという。 「急に離婚したいなんて、おかしいじゃないですか」クライアントはそう語る。...
7月7日


敗北感
今回の浮気調査はこれで終了となった。しかし、最後に残ったのは、得られた証拠に対する満足感ではなく、 後味の悪い敗北感 だった。プロとして、相手の裏をかくことができなかった。いや、相手の方が一枚上手だった。この一件は、俺たち探偵稼業の難しさ、そして油断の恐ろしさを改めて痛感さ...
6月28日


後の祭り
「もう後の祭りです」 俺は、そう返すしかなかった。もし、クライアントが事前に口を滑らしたことを伝えてくれていれば、我々も警戒を強め、対策のしようはあったはずだ。 幸いなことに、今回の浮気調査は既にラブホテルの出入りを2回押さえており、浮気相手の住所も判明している。裁判資料と...
6月27日